水を飲むのは馬自身
実は、外反母趾がある。そんなに重症のものではないのだが、講座などで長時間立ち歩きしていると、終わりの方には足の親指の付け根が痛くなってきたりしていた。が、日常的に痛みがあるわけではないので、靴を工夫してなんとかしのいでいた。
先頃、正座の姿勢から立ち上がるときに、変に力を入れたのか、左の母趾にぴきっと痛みが走った。その後から、少しねじった形で母趾に力が入ると、同じような痛みが現れるようになった。腫れたり持続的な痛みはなかった。そして幸いなことにバレエには差し支えなかった。レッスン中はとても注意して足を使うからだと思う。
それで、外反母趾のテーピング方でも調べてみようかと何気なくネットを検索したら、ある治療院のサイトに行き当たった。
外反母趾はテーピングや手術で治すのではなく、正しい足の使い方で治す。
というのだ。
しかも初回のトライアルコースが、ほとんど75%ほどの大幅割引になっている。場所は神戸の長田区だ。行ける!
と思い、あまり考えずにその場でネット予約した。
あまりに考えなしに、ここまでするすると体が動いた。理性的に考えたら、口コミもなくネットだけで、しかも初回75%オフなんて、なんだか怪しそう~と思われるかもしれない。でも、まあ、行くだけ行ってみようと思った。
で、行ってきた。
先生は私よりもいくぶんお若い男性で、坊主頭。
最初に裸足で足の写真を撮り、立ち姿の写真を前からと横から撮影。
それを元に、どれくらいの程度の外反母趾か、姿勢と歩き方をどうしたらよいか、などなど、わかりやすい図を使って説明してくださった。
なんでも、外反母趾の原因は、足関節が緩くなって崩れていることなのだそうだ。それは、立つときの姿勢、体重のかけ方、そして歩き方で、改善できるのだという。
治療院では、その立ち方歩き方をもちろん習うが、少しだけ整体の施術をします、ということだった。
そこで先生が真顔になっておっしゃったことには、
「この方法は、ここへ来てやって施術してもらう、ということだけでは、効果がないのです。みなさんご自身で、日常生活でやっていただくことで、効果が出ます。そうでないと何も変わらないことになってしまいます。ここでは、正しい姿勢や歩き方がやりやすいように、それが長く続きやすいように、施術をするだけなのです。そのことをご理解いただけますか?」
おお!もちろんですとも!
それに関してはとてもよく理解できます!!
仏教もアドラー心理学も、まったく同じですもの~!!!
と、頭の中で言っていた。
強く納得したことは言うまでもない。
嬉々として「はい!!理解します!」
とだけお返事した。
ああ、やはり、最終的には自分がどうするか、なんだなあ、と思った。
「我々は馬を水辺に連れて行くことはできるが、馬に水を飲ませることはできない。水を飲むのは馬自身なのだから。」とお釈迦さまもおっしゃったのだそうだ。これは、仏教の師も何度となく話してくだることだ。
アドラー心理学も同じで、いくら理論や思想について知識を持っていても、それだけでは何にもならない。アドラー心理学は日常で実践して始めてその知識の意味がわかって、使えるようになり、日々の生活が幸せになっていくのだ。
外反母趾の治療も同じなんだな。。。と思った。
この日は正しい立ち方を教わった。
私の立ち姿は前傾姿勢になっていて、指で体重を支える形になっているのだそうだ。それで、骨盤の真下に踵が来るように、少し後ろに重心を思ってくるように立つのがよいのだそうだ。
歩き方は、
「今まではきっと蹴る動きが強い歩き方だったと思います。そうではなくて、脚を上げて、足を地面につけるときに踵をつくように歩いてみてください」
とのことだった。
まずはこれをやってみようと思う。
日常で、マントラを唱えるのと同じことだ。楽しくてうれしい。
そして、ここにしばらく通ってみることにした。